1 番歌
秋の田のかりほの庵の
26 番歌
小倉山峰の紅葉葉
51 番歌
かくとだにえやは伊吹の
76 番歌
わたの原漕ぎ出でて見れば
2 番歌
春過ぎて夏来にけらし
27 番歌
みかの原わきて流るる
52 番歌
明けぬれば暮るるものとは
77 番歌
瀬をはやみ岩にせかるる
3 番歌
あしびきの山鳥の尾の
28 番歌
山里は冬ぞ寂しさ
53 番歌
嘆きつつひとり寝る夜の
78 番歌
淡路島通ふ千鳥の
4 番歌
田子の浦にうち出でて見れば
29 番歌
心あてに折らばや折らむ
54 番歌
忘れじのゆく末までは
79 番歌
秋風にたなびく雲の
5 番歌
奥山に紅葉踏み分け
30 番歌
有明のつれなく見えし
55 番歌
滝の音は絶えて久しく
80 番歌
ながからむ心も知らず
6 番歌
鵲の渡せる橋に
31 番歌
朝ぼらけ有明の月と
56 番歌
あらざらむこの世のほかの
81 番歌
ほととぎす鳴きつる方を
7 番歌
天の原ふりさけ見れば
32 番歌
山川に風のかけたる
57 番歌
めぐり逢ひて見しやそれとも
82 番歌
思ひわびさても命は
8 番歌
わが庵は都の辰巳
33 番歌
ひさかたの光のどけき
58 番歌
有馬山猪名の篠原
83 番歌
世の中よ道こそなけれ
9 番歌
花の色は移りにけりな
34 番歌
誰をかも知る人にせむ
59 番歌
やすらはで寝なましものを
84 番歌
長らへばまたこのごろや
10 番歌
これやこの行くも帰るも
35 番歌
人はいさ心も知らず
60 番歌
大江山いく野の道の
85 番歌
夜もすがらもの思ふころは
11 番歌
わたの原八十島かけて
36 番歌
夏の夜はまだ宵ながら
61 番歌
いにしへの奈良の都の
86 番歌
嘆けとて月やはものを
12 番歌
天つ風雲の通ひ路
37 番歌
白露に風の吹きしく
62 番歌
夜をこめて鳥のそら音は
87 番歌
村雨の露もまだ干ぬ
13 番歌
筑波嶺の峰より落つる
38 番歌
忘らるる身をば思はず
63 番歌
今はただ思ひ絶えなむ
88 番歌
難波江の蘆のかりねの
14 番歌
陸奥のしのぶもぢずり
39 番歌
浅茅生の小野の篠原
64 番歌
朝ぼらけ宇治の川霧
89 番歌
玉の緒よ絶えなば絶えね
15 番歌
君がため春の野に出でて
40 番歌
忍ぶれど色に出でにけり
65 番歌
恨みわび干さぬ袖だに
90 番歌
見せばやな雄島の海人の
16 番歌
立ち別れいなばの山の
41 番歌
恋すてふわが名はまだき
66 番歌
もろともにあはれと思え
91 番歌
きりぎりす鳴くや霜夜の
17 番歌
ちはやぶる神代も聞かず
42 番歌
契りきなかたみに袖を
67 番歌
春の夜の夢ばかりなる
92 番歌
わが袖は潮干に見えぬ
18 番歌
住の江の岸に寄る波
43 番歌
逢ひ見てののちの心に
68 番歌
心にもあらで憂き夜に
93 番歌
世の中は常にもがもな
19 番歌
難波潟短き蘆の
44 番歌
逢ふことの絶えてしなくは
69 番歌
嵐吹く三室の山の
94 番歌
み吉野の山の秋風
20 番歌
わびぬれば今はたおなじ
45 番歌
あはれともいふべき人は
70 番歌
寂しさに宿を立ち出でて
95 番歌
おほけなく憂き世の民に
21 番歌
今来むといひしばかりに長月の
46 番歌
由良の門を渡る舟人
71 番歌
夕されば門田の稲葉
96 番歌
花さそふ嵐の庭の
22 番歌
吹くからに秋の草木の
47 番歌
八重むぐら茂れる宿の
72 番歌
音に聞く高師の浜の
97 番歌
来ぬ人を松帆の浦の
23 番歌
月見ればちぢにものこそ
48 番歌
風をいたみ岩打つ波の
73 番歌
高砂の尾の上の桜
98 番歌
風そよぐ楢の小川の
24 番歌
このたびは幣も取りあへず
49 番歌
御垣守衛士のたく火の
74 番歌
憂かりける人を初瀬の山おろしよ
99 番歌
人もをし人も恨めし
25 番歌
名にし負はば逢う坂山の
50 番歌
君がため惜しからざりし
75 番歌
契りおきしさせもが露を
100 番歌
百敷や古き軒端の
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