火打山から妙高山(1999年6月20〜21日)
メンバー 王様、WK、ID

 ♪上野発の夜行列車降りたときから、直江津駅は夜が明けていた。
 上り始発列車で妙高高原駅へ行き、タクシーで笹ヶ峰の登山口まで。梅雨の最中、雲は多いが時折朝日もさして、清々しい朝だ。今日は高谷池までだから、のんびりと登る。新緑の樹林の中を緩やかに登って、黒沢に着く。最初の大休止。既に汗だく。この後、十二曲の急登は忍耐。黙々と登れば、これ瞑想、無念無想の世界だ。
 十二曲を過ぎれば、またなだらかになる。残雪も出てくる。富士見でまた大休止、モーニングコーヒー。
 高谷池までトラバース気味に行く。キヌガサソウやゴゼンタチバナなどを愛でつつ、途中で根曲がり竹を収穫。残雪の豊富な山裾が見えてくるが、火打山は見えず。11時には、高谷池に着いてしまった。すばらしい景色だ。テント場は、雪の上。雪を掘って水場がある、深さ2メートルはある。時々雲が流れて、火打山の姿が見える。しかしまた、すぐ隠れる。
 ゆっくり休んでから、火打山に向かう。空身で、ピストンだ。
 以前、私が友人夫妻と山登りしたとき、
夫が「山頂までカラミでピストンだ」と言った。
妻は「力、カラミでピストン?あら、やだわ、こんな所で。何言ってんの。キンちゃんがいるのに。」と顔を赤らめた。
夫「お、おまえ、何勘違いしてんだよ!」
私「え?なに?なに?え?」
私にはなんのことやら、さっぱり。
 高谷地は水面を出しているが、花はなし。雪の斜面を越えて、天狗の庭では、小さくてかわいい水芭蕉がたくさん咲いている。ハクサンコザクラも少し咲き始めている。
 尾根に出ると、北面の残雪が豊富で美しい。山桜が最盛期。コイワカガミも鮮やか。山頂近くなって雷鳥のつがいが飛び去って行く。
 静かな山頂は、残念ながら展望はなし。

 翌日、天気は良いがやはり雲の量が多い。黒沢池への尾根に出ると、日本海側は一面の雲海が水平線の先まで続く。黒沢池の湿原も、雪が解け池塘に黒沢山が映っている。



 外輪山への上りは、残雪を踏んで行く。途中にシラネアオイの群落が出てくる。出し惜しみしないほど、凄い数だ。尾根を越えると、沢筋は残雪が豊富。残雪をしばらくツメて、火口丘の急坂にかかる。ただひたすら登る。暑い。急登だから高度は稼ぐ。途中、白馬三山が雲の合間にかいま見えたのが、今回唯一の遠望であった。山頂は、六月の太陽が燦々と降り注いでいた。展望はないが、足下の雲海の広がりはすばらしかった。
 午前中の妙高山とかけて、隣のミヨちゃんと解く。その心は、
 「浅田美代子」
 「アサダミョコ」
 「朝だ、妙高」
なんちゃって、ナン…チヤッテ…。寒ぶ。
 燕温泉への下りは急で、あっという間だった。黄金湯という無料の露天風呂に入った。夫婦が入っていた。「女湯はぬるいもんでね。」堂々たるものだ。純真な少年には、目の毒だった。下の温泉街には、中年の毒消しが、あまたおった。


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