SAWA WARS 東黒沢からウツボギ沢(1999年7月10〜11日) メンバー MO、王様、MK、AS、MR、SN、FS |
EPISODE 1 順風満帆 一行七人は、電車と車を使い、10時半に土合駅に集合した。荷物を分担して、11時出発。東黒沢の左岸をたどり、ナメ床が出てきたところで、入渓。少し行くと、ハナゲの滝。どでかいナメ滝だが、みんな軽快に登る。足が揃っているのは、気が楽だ。白毛門沢を左に分けて、その後は、小滝やナメが、次から次へと出てきて楽しい。美しい沢だ。順調に登って行く。 2時間ほど行ってリーダーのA-3ohは、「そ−めん食べよか」と言った。皆、今日は早めにテン場に着く、と確信していた。遡行図には、東黒沢から丸山沢、丸山のコルを越えて広河原まで4〜6時間と書いてある。余裕だ。この後、どんな試練が待ちかまえているのかも知らず。 EPISODE 2 姫たちの逆襲 コルも近くなったと思われるあたりで、二股が出てきた。 KinkinSkywalkerは迷わず、広い方の沢へ歩き出す。 A-3oh とYottaが止める。鳩首。三人とも現在地の認識が違う。一抹の不安を持ちつつ、広い沢を進む。大きな滝が出てきた。高巻く。猛烈なヤブ漕ぎ。滝を二つほど越えて、沢に降りる。事態ははっきりした。尾根ひとつ隣、ちょっとだけ遠回りだ。 次の滝で、初めてザイルを使う。Tyuntyun-himeが登り、Sanojouが登って、Markvaderを確保しているとき、後ろで大きな音がした。でかい倒木が足もとに落ちてきた。木のあったと思われるところに、Sanojouがいる。そりゃ、あんなヤブ漕ぎさせられちゃ、怒って当然。 しかしあんだけでかい木をなにしたんだから、まだまだ体力には余裕かおるようだ。 この後、高巻きのヤブ漕ぎ一回、ザイル出すこと一回。そして快適な滝がいくつも出てくる。丸山沢に較べたら、格段に面白い(んじゃないかな)。 稜線へのツメは、猛烈なヤブ。闇の中を行くようだ。稜線に出だのが、4時前。本に登って遠望するが、見えず。磁石に従って、真東へ、尾根を外さぬように行く。途中、二ヵ所コブが有って見晴らしがよい。天神平、西黒尾根、トマノ耳が見える。ヤブの中では、少し離れると、「声はすれども姿は見えず。ホンにあんたは (以下略)」状態だ。 後ろを振り向けば、Tyuntyun-himeが目を三角にして、「責任者出てこい光線」を発しながら付いて来る。少しは気が紛れるかと思い、駄洒落をブッコケぱ、無言の固まりが飛んでくる。ゴン、ゴン、ムゴン。とても目を合わせられない。 途中、小休止。姫たちに、アロエヨーグルトデザートやらカリカリ梅やらご馳走した。とたんに「おぃぴぃ、キャピ」少しは機嫌が直ったようだ。分かりやすい性格をしている。 丸山のコル近づいて、ブナ林になった。美しい。ブナ林って、なんてこう綺麗なんだろう。ヤブも穏やかになり、一ノ沢の源に着いた。5時半。 皆、傷だらけ。大事な顔に二条の傷を作ったHusi-no-miyaは「私、お嫁にいけない」という。言わしておくしかない。 一ノ沢を下る。標高差で、150メートル程。難しい滝もない。途中、Tyuntun-himeが滑って、滝壷に落ち、首まで浸かった。見ていたのは、KinkmSkywalkerだけだったので、このことは二人だけの「シ!ミ!ツ!」にして、永久に封印した。 EPISODE 3 天の川 ヘロヘロ状態で、6時半、広河原に着いた。タープを張り、薪を集め、たき火をする。薄暗い中で食事の支度。今夜は、五目ずしだ。 薄暗い中、Husi-no-miyaが何かゴソゴソやっている。 「なにやってんの」 「ご飯まぜてんの」 「つまみ食いしちやだめだよ」 「そんなことしないもん」 この短い会話の中に、声の異常を感じ取ったKinkinSkywalkerは、ヘッドランプをHusi-no-iyaの顔に当てた。 「あっ!ああっ」 皆の目も、Husi-no-miyaの顔に集中した。彼女の唇の、向かって左、一センチの所に、お弁当が一粒、しっかと、ひっついているではないか。 「あ−らら、あらら」 「い−けないんだ、いけないんだ」 「ちがうもん、ご飯まぜてる時、手にひっついたごはんが……」 悲しい言い訳は、ウツボギ沢の沢音と共に、宝川の流れに果って、天の川へと登っていった。 皆さん、夏の夜、天の川が見えたら、右から二番目に赤く光る星(FS座いいわけ星)がそれなんですよ。 EPISODE 4 喉元過ぎれば たき火を囲んで、歌とオシャベリで楽しいひととき。 「もう一度あんなヤブ漕ぎやってもいいな」 「いい沢だったよ」 このときMarkvaderが訳の分からない英語で 「(カープー)‥・RUTE…(カープー)…MISTAKE…」 とロをはさんだ。(彼は分かっていたのか) KinkinSkywalkerがカタカナで言った。 「ヴァリエーション EPISODE 5 ウツボギ沢 夜中に小雨がふったり、満天の星になったり、不安定な天候であったが、明ければまずまずの天気だ。 8時前、なだらかにウツボギ沢を遡る。すぐに15メートルほどの滝に出くわす。中段まで登って、右を巻く。まただ。ヤブだ。昨日の悪夢が、蘇る。しかしこの先は、小滝やナメ滝が続いて、とても快適な沢であった。笠ケ岳の肩まで、標高差700メートル、昼前に遡行終了。その時、雨が降ってきた。 白毛門を越え、松の本の頭を下ると、雲の下に出た。マチガ沢、一の倉沢、幽ノ沢まで東面の岩場が、すばらしい迫力で間近に現れた。 終わりよければ全てよし。 END |