河口湖から三ツ峠山(1999年11月10日)

 山道を登りながらこう考えた。「オエ、気持ち悪い。飲み過ぎたなあ。」
 職場旅行が、河口湖だったので、帰りは一山登ろうと考えた。酒で疲れた時は、ガンガン登ってアルコールを抜くしかないと思い立ち、厳しいコースを採った。
 河口湖からロープウェーで天上山に上がる。これは反則。が、二日酔いに免じて、許してやる。目の前にはドカンと富士山がでかい。
 (9:05)さて、富士山に背を向けて歩き始める。樹林の中、単調な、緩やかな登りが続く。ポカリスウェットがどんどん減ってゆく。眠<なる。木々の間から、紅葉の山が、見えてくる。途中からガスの中に入って展望も無し。ひたすら歩いて毛無山に着くとガスがきれた。目の前に三ツ峠の岸壁が見えた。途中誰にも会わなかったが、ここでいきなり中高年者が増える。平日だというのに、何だこの数は。
 (11:30)山頂からの展望は、すこぶる良し。ここでアルコールはすっかり抜けた。雪を被った南アルプスは目の前、真っ白な槍、穂高も彼方に浮いている。
 ここまでの所要時間は、2時間半。ドーダ、早いだろ。
 軟弱者は、ここから富士急線や御坂方面に逃げるのだが、私は違う。ここから清八峠を越えて、中央線の笹子駅まで歩こうというのだ。 ドーダ、参ったか。
 (12:00)御巣鷹山から急降下する。ここから暫くは、昭文社のエリアマップでは、不十分である。登山道ははっきりして迷うような所はない。エリアマップでは縮尺が大きすぎるし、道が大ざっぱなのだ。かえって不安になる。
 中年三人組を追い越したら、後は一人旅。御坂山塊や本社ヶ丸の南面の紅葉が美しい。いくつかのコブを越えて、清八山に到着(13:30)。眺め良し。 NTT のアンテナがちょっと邪魔ではあるが…。中年のカメラマンが一人休んでいる。
 少し下って清八峠。以前来たときは、清八山を巻いて道がついていたが、今は崩壊しているようだ。清八峠からの下りは、落葉松の紅葉が、午後の陽を浴びて殊更美しい。春にはタラの芽がたくさん出るところだ。
 今年の紅葉は、少しくすんでいるとは言え、それはそれで渋い美しさを醸し出している。そう見られるようになったも、年輪の為せる業か。
 急降下すると、大きな変電所にぶつかる。リニアモーターの実験線が出来て以来、この谷(奥野沢)はだめになった。以前は、狭い谷に小さな田圃が綺麗に手入れされ、釣り堀があったりして美しいところだった。今はさらに、ダム建設予定地の看板も出ていて、ますます荒れ果てようとしている。交通量の多い甲州街道を急いで、笹子駅着。(15:05)
 ちょうど六時間の行程であった。 ドーダ、早いだろ。


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