ツボ足山スキー?白神岳(2000年3月18〜20日)
メンバー 王様、FS

3/18
 夜行バス、特急電車、五能線を乗り継いで、朝9時過ぎに陸奥黒埼駅に着いた。下車したのは、大きなザックとスキーを担いだ、二人だけ。天気は快晴。五能線沿いの日本海は、波静かで、美しい。
 雪がない。数日前から、東北地方は大雪のはずだ。しかし、何日も前に降ったような汚い雪が、日陰にあるだけ。駅からのシール登行を予定していたが、(9:30)重荷を担いで歩き始める。標高0mから登るのだ。
 出だしで道を間違えて、30分以上ロス。除雪されている舗装道路の横をシールで登る。林道の先、高く、白神岳が真っ白、山頂のトイレも三角屋根が、はっきり見える。
 林道終点の駐車場には、車が2台。そのうち1台は、横浜の山岳会の坪足3人組。
(12:15)山道に入る。天気は急激に崩れ、小雨が降ってきた。小尾根を巻いて、夏道を離れて、蟶山(マテヤマ)への尾根を直登する。赤布が沢山付いてルートはハッキリしているが、藪はメチャ濃い。シール登行にはキツイ。先行のスキー跡を追って、尾根を右に回り込んで行く。雨が降ってきた。雷も鳴っている。風も吹く。
 (14:00)500m地点で幕営とする。急斜面の棚の様なところを選んで、雪を均してテントを張る。ビショピショに濡れて、テントに入る。ストーブを焚くと暖かくなって、ホッとする。
 雷は、頭上に来ている。風の音も凄いが、尾根を外れているのでテントは揺れない。首を出せば、海岸線が足下に見える。
 夕食は、鱈、ウィンナー入りキムチ鍋。また、ですよ。
 風は夜半には止んだが、波らしき音が一晩中していた。寒くはない。

3/19
 朝、起きれば目の下に、大間越の海岸線が見える。
 (7:55)濡れた重いザックを担ぎ、更にスキーをくくりつけて、雪の急斜面を登る。現在地が不確かなので、とりあえず尾根を目指す。15分ほど登ったら、尾根上に出て踏み跡も、赤布も出てきた。
 暫く行くと、藪も疎らになってきたのでスキーを履いて登る。後ろには、木々の間から日本海が見えている。
 700m付近になって、やっとブナ林に入った。尾根上に横浜の山岳会のテントが張ってあった。蟶山近くなって、ガスが出てきた。山頂付近で、上から降りてきた横浜の山岳会の3人にあった。ガスが濃くて、引き返してきたようだ。
 (10:00)蟶山の山頂直下、プナの根元にテントを張る。今日は、上には行けない。ここいらのブナの間を、滑って遊ぽうか、と話している内に雨が降っできた。しかもザーザーと、凄い降りかたになる。
 行動を諦め、11時頃から寝たり、飲んだり、食べたり怠惰ではあるが、贅沢な時間を過ごす。連休なのに人がいなくてヨイ。
 ドーンという音が、2度ほど聞こえた。雪崩の音みたいだ。
 夕方になって、雨は止んだ。ガスも消えて美しいブナ林が現れた。白い雪の斜面に、太い木があるというだけなのに、なんでプナ林はこんなに綺麗なんだろう。心が落ち着く美しさだ。両隣の尾根も見えている。明日は、白神岳まで行けるのだろうか。
 黄昏時に、蟶山の山頂に登ると、海岸線に沿って町の灯りが美しい。ここはズーツと海の見える山なのだ。
 夕食は、すき焼き丼。新しいメニューだぜ。レトルトだから重い。昼間、あんなに寝だのに、夜もまたよく寝る。

3/20
 テントが、ずいぶん雪に埋まっている。いつの間にやら風向きが、北寄りになって風雪。今日は、行けるところまで、なるべく高く登りたい。しかし、天気予報は冬型が強まる、と言っている。
 (7:00)シールを付けて尾根を登る。始めは、こぶがいくつか有って、上り下り。前日の雨で雪は凍り堅い。その上に現在進行形で降り続いているサラサラの雪が載っている。周りは、プナの大木が疎らにある。赤布が足りない。
 (8:00)もう少しで森林限界という1000mのコブ゙まで来て、眼前に白神岳から続く稜線が現れた。真っ白な壁が、前に立ちはだかっている。右端には白神岳とトイレが見える。これを見て、引き返すことにする。すぐに雪雲に閉ざされる。
 3日目にして、やっとシールをはがす。尾根をはずさないように、滑り降りる。シュプールが美しい(とは言い難い)。ブナの巨木の間を滑るのは、気持ちいい。
 (8:25)ルートを確かめつつ滑り、あっという間に、蟶山に着いてしまった。
(9:00)テントを纏めて、下りにかかる。雪とガスが濃くなって、下る尾根を考え込んでしまった。磁石によって、方向を決める。
 重荷を背負っているのだから、スイスイ降りたいのだが、尾根は狭いしブッシュもあって転ける。起きあがるのに相当なエネルギーがいる。藪が濃くなって、スキーを手に持って下る。足が雪に埋まって身動きできなくなったりして、イライラする。これが山スキーのコースなのか、と恨み言をいう。
 少し下って雲の下に出たら、日本海が見えた。広い、広い。雪の尾根と海。不思議な、美しい光景だ。山も良いが、海も良い。イライラが吹っ飛ぶ。さらに藪こぎ、スキーを引きずり、トッテモやんなったころ登山口に着いた。ここは、海が更に近づいて、海の色が蒼くなった。
 (13:30)陸奥黒崎駅に着。お疲れでした。帰りの五能線の汽車の中から見た白神岳は、他の山が樹木で黒っぽいのに、そこだけ、山頂だけが真っ白だった。白い神々しい山なのだ。
 帰京するには、更に長い電車の旅が待っていた。白神は遠い。が、もう一度行
きたい。季節を変えて。 山スキーには辛い山だから。


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