鹿島槍ヶ岳・東尾根(2006年5月5日〜7日)
メンバー 王様、FS、MR、ON(長岡山岳会)

 4日の夕方、信濃大町で合流したメンバーは、アップルランドに立ち寄り今宵の食材を購入して、大谷原の駐車場に向かう。満杯の駐車場の隙間を見つけてテントを張った。
 明日からの厳しい登攀に備えて、エネルギーを蓄える。いつものようにONさんは、栃尾のアプラゲを持参。ああ、うれしい。これはいつ食べても美味しい。いくら食べても胃にもたれない。さらに、ウド、コゴミ、木の芽(アケビの蔓)が出てきた。充分な量のお酒をいただき、幸せな就寝。隣のテントは今日鹿島槍から降りてきたパーティで、夜遅くまで盛り上がっていた。
 夜中、満天の星空に、歎座が見えていた。

 5日、装備を再確認したりして、7時出発。林道を30分歩いて、赤布のあるところから尾根への急な斜面を登る。すぐに雪が出てきた。一の沢の頭までハイキングというパーティに追い抜かれる。重荷の上に暑い日差しで辛い。三島労山の5人パーティに追い抜かれる。こちらは若者が多い。
 高度が高くなるに従い尾根は細くなり、雪が割れていたりする。眺めの良い一の沢の頭から上は、雪の状態が良くない。両側がスッパリ切れていたり、藪を漕いだり。雪崩の音も聞こえる。
 二の沢の頭には、12時に着いた。どうやら今回は、2パーティだけらしい。狭い山頂に2張り。午後の時間をのんびりと過ごす。ONさん持参の村上の鮭の焼き漬けが美味しかった。全くもって感謝、感謝。爺ケ岳の西沢には、長い雪崩跡が見える。あちこちで雪崩の音がする。

 6日、2時半起床。薄明るくなってきた4時半出発。第一岩峰に向けて急な雪壁を登る。6時前に取り付きに到着。
 ONさんリードで登る。あとの三人はONさんを通り越して岩場をぬけて這い松の根っこにセルフビレー。更にONさんが雪壁を登って岩にビレー。都合3ピッチ。雪は腐っている。ここからは急な雪壁のトラバース。ヒェー、怖いよう〜。下を見ると怖い。上を見ると遠い。
 途中で岩稜を巻いて更に雪壁をトラバースして第二岩峰に着いたのが9時10分頃。
 ここでまたザイルを結んで、ONさんリードで登る。「ナンギ、難儀」とかいう声が聞こえる。すずめちゃんはもっと難儀していた。いづみちゃんも多少難儀。私と言えば、背の高さが幸いして、ヒョッコラヒョッコラと登れた。後ろの三島労山パーティをずいぷんと待たせてしまった。 11時前に第二岩峰を抜ける。その上も急で狭い雪稜だった。足元から雪がずり落ちてゆくのには、肝を冷やした。
 天狗尾根との合流あたりからは、傾斜が緩くなったが、日差しが強く暑いのと、雪庇の切れ目が出ていて神経を使った。北峰への最後の登りは、斜めにした平均台の上を歩くようで、エライ怖かった。
 12時丁度に北峰山頂に着いた。ほっとした。やっと緊張から解き放たれた。あとは冷池小屋まで行けばビールが待っている。何度も休みながら歩き続けた。
 冷池小屋には3時半着。我々を追い越した三島労山パーティが赤岩尾根のトラバースをしているところだった。
 本日は11時間行動だった。小屋に泊まり客はおらず、テントの我々だけだった。ビールを飲み、疲れ切って早々に寝た。
 22時過ぎ、雨と風の音で目が覚めた。こんなに早く降り始めるとは思わなかった。グシャグシャ雪の状態で赤岩尾根のトラバースはしたくない。遠回りにはなるが爺ケ岳の南尾根の方が安全と考え、そのルートに下山を決めて眠る。

 翌朝、風雨の中でテントを撤収し爺ケ岳に向かう。雷鳥のツガイが3組も現れる。爺ケ岳の南尾根は踏み後が付いている。山スキーに良さそうな雪の斜面をどんどん下る。下に来ると樹林の歩きにくい尾根を黙々と下る。扇沢には11時着。そこからタクシーで大谷原に戻った。
 温泉に入り、ビッショリ濡れたザックを担いで帰ってきた。


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