コル・デ・ベラー
Col de Berard


  3日目はエギーユ・ルージュ(赤い針峰群)方面に行く。シャモニの隣町プラへ行き、ロープウェイでフレジェールまで登る。その中で日本人スキー教師にあった。エコール・ド・スキーの赤いユニホームを着ている。ひろこちゃんが話している。イタリア娘を教えてるらしい。かっこいいなぁ。ピーターはガイドでありスキー教師だ。我々はただで教えてもらっている。とても贅沢だ。
 フレジェールからリフトでランデックスまで登り、更にTバーがある。そこからシール登行。
 今日のコースは、クロッシューのコルを越えて北面に滑り降り、ベラーのコルに登り返してビュエ(le Buet)という町まで谷を滑って行く。大勢の人たちが登って行く。人気のコースのようだ。
 クロシューのコルへは、急斜面でキックターンが難しい。最後の急斜面はスキーを担いで坪足で登ったが、南面で雪が柔らかくアイゼンは必要なかった。1時間半ほどでクロッシューのコルに着いた。天気が良いので暑い。
 北面の滑りは、最初だけ雪が柔らかくてキャッホー状態だったが、日当たりの良いところに出るとカリカリのボコボコ斜面で最もイヤな雪質だ。その先は斜滑降が延々と続く。急な斜面に付けられた細い1本のトレースをズーッと斜滑降で行くのはしんどい。尾根を回り終えたところに平坦地があり休憩。そこからまたシール登行でベラーのコルを目指す。
 登って行く途中でピーターがシールを外している。雪質が良いところで1本滑ろう、というのだ。ひろこちゃんと3人で滑ったのだが、周りには観客もいることだし、無様な滑降は出来ないので気合いを入れた。転ばずに滑れたのでまあ、良しとしよう。
 また登り返してベラーのコルに出た。まだ13時。
 コルから見下ろした谷は、広く長く大きかった。黒部五郎のカールの下に御山谷と剱沢と雷鳥沢やら何やらをくっつけたような大きさで、雪質も良くてとても楽しかった。氷河では無いので安心して滑られるのだ。それにしてもスキーの上手な人たちばっかりだ。日本がオリンピックでメダルが取れないのも当然だ。良いコースがある上に、スキーヤーの裾野が広い。
 谷が狭まってくるとまたもやボブスレーのコースのようになる。足がパンパンになってイヤになった頃、ビュエの町の小さなスキー場に着いておしまい。14時15分着。あっという間だった。電車を待つ間、駅前のレストランでビールを飲む。本日の高度差、1523mでした。

 今日は帰りが早かったので、夕方からシャモニの町に出てお土産を買ったりした。帰り道、夕焼けで真っ赤になったドリュが美しかった。夏は氷河の雪解け水でラフティングさえやっているアルブ川が、冬の今は川底の石が見える程に水量が減っている。


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