コル・デュ・パッソン
Col du Passon


  最終日はMYさんとSNさんは観光。ひろこちゃんとピーターと3人でトァー氷河(Glacier du Tour)へ出かける。
 朝一番のロープウェイでグラン・モンテスキー場の最上部まで登る(9時)。そこからアルジェンチエール氷河まで滑り降りる。氷河を一直線に対岸へ直滑降(9時半)。そこからシール登行でパッソンのコルを目指す。この数日天気は良いのだが、雪が降っていないので、雪面がカリカリに堅くなっている。シールが滑る。他の人たちは皆苦労しながらもシールで登って行くが、私は途中でスキーを担いでアイゼンに履き替える。歩きやすい。パッソンのコルへの登りは急ではあるが踏み跡がバケツになっていて易しい。コルには11時40分着。モンブラン方面の眺めが素晴らしい。
 コルからトァー氷河に滑り降りる。最初の急斜面を少し下りたら、広い広い大雪原だ。全く広くてスキーが滑らない。少し行くと傾斜が出てきて、とても良い斜面なのだが上手くターンができない。悔しい。トァー氷河の末端はかなり高いところにある。氷河がだいぶ後退しているのだろう。末端のセラックを右に見て、急な深雪斜面を転げ滑る。全くもって急で、広い斜面だ。ピーターの上手な滑りをお手本としながら滑るが、まだまだ年期がかかりそうだ。
 12時50分、トァー(le Tour)のスキー場に着いた。ここはなだらかな初心者向きスキー場で、こちらに来て初めてMYさんみたいな初心者スキーヤーにお目にかかった。
 シャトルバスがすぐにあったのでグラン・モンテスキー場に引き返した。私は氷河を滑れたのでもう満足であったが、1日券が勿体ないから滑ろう、と言われてまた上に上がる。天気がよいのでロープウェイではなくリフトで登った。これは気持ちよかった。その上、腰掛けられたので楽だったなぁ。
 しかしこの後が、地獄のレッスンだった。リフトを乗り継ぎ、ゴンドラに乗って中腹まで上がった。ここからはドリュが目の前、メール・ド・グラスとシャモニの町が足下に見える。
 私は「もう充分楽しみました。1本だけしましょう」と言った。ピーターがこちらに良い斜面がある、と言い、初日の斜面とは違う方向に滑って行く。確かに良い斜面だが、全然休まずに滑り続ける。標高差900mを一気に滑り降りた。ピーターの後をひろこちゃんが滑り、その後を遅れまいと必死になって付いて行く。先でピーターが止まっている。休ましてくれるかなぁ、と思ったら私が着いたらまたすぐに滑り出す。休んでる暇がない。きついが楽しいレッスンだった。
 リフトで少し登り返して、あとは麓まで滑り降りるだけだと安心して、なんかの会話の拍子に「same」という言葉を発してしまった。ひろこちゃんが「あれ?また行くの?」と言う。私は「いや、そんな意味じゃ無いんだけど」と言い訳したが遅かった。ピーターはすでにゴンドラに向かって歩きスキーを脱いでいる。もはや行くしかない。最後の1本は、標高差1513mを全く休まず、しかも猛スピードで滑り降りた。充分満足すぎて「Excellent!」を連発したのであった。本日の高度差合計、5040mでした。
 最後の夜は、いつもの「le SARPE」で楽しい会食。食事の合間にもピーターによる机上スキーレッスンでとても有意義だった。

 帰りもジュネーブまで送って頂いた。感謝この上ありません。こうして冬のシャモニも全日快晴の中で楽しく終わったのでした。
 滑降高度差がかくも正確に調べられたのは、帰りの飛行機がジャンボ機だったので、テレビが前方に1台あるだけで見られないのだ。仕方がないから長い道中、地図を取り出して等高線の1本1本を数えたのである。


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