羅臼岳(2009年)
メンバー、(L)ON、王様、FS、MC


 起きてみれば今日も快晴。予報では、崩れるみたいだが、そんな兆候は見あたらない。
 5年前の時は、極楽平から更に一段高いところへ登ったところで雪がふりだしてきたので引き返してきた。今回こそは山頂まで行きたいものだ。5時出発と決めて4時の起床したのだが、出発は、5時半過ぎになった。

5月5日
 木下小屋(05:45)〜長官山(07:50)〜羅臼平(10:50)〜羅臼岳山頂(11:50)〜木下小屋(14:50)

 最初は辛い登りが待っている。今年は雪が少ないから、普通の夏道をスキー靴で登る。所々ある雪に普通の靴の跡がついている。しばらく行くと高年夫婦が下りてきた。朝飯前の散歩のつもりで、オホーツク展望台の名前に惹かれて登ったのだろう。雪が多くなって諦めて下りてきたらしい。
 変に雪がついているよりは全くない方が歩きやすい。45分でオホーツク展望台に着いた。快調なペースだ。長官山の手前から雪が深く続くようになった。長官山のトラバースは、前回も辛い思いをした所だ。這い松と岳樺が密生して、担いだスキーが引っかかる。上がったり下がったり、潜ったりで苛々する。20分ほど格闘しただろうか。極楽平の手前で藪から抜け出しホッとした。
 目の前には羅臼岳が高く見える。数日前に登ったであろう踏み跡が続いている。それを辿って夏道の仙人坂の左、三ツ峰から下りてくる沢を登る。そこを登ると緩やかな台地になる。右にトラバース気味に登って岳樺がまばらにあるところで休止。枝にシャツを引っかけて日陰を作る。暑いのだ。頭に雪を乗っけて冷やす。メチャ天気がよい。目線の先に、大沢が見える。長く急だ。
 ジッと我慢の登りが続く。羅臼平でホッとするまで1時間の登りだった。暑いせいでスピードが落ちている。
 羅臼平から上は、ピッケルとアイゼンに履き替えて雪の斜面を登る。広い雪の斜面を登り、山頂直下は急で狭い雪稜だが雄大な展望が広がる。山頂には、11時50分着、6時間もかかった。記念写真を撮っているうちに丁度12時になった。羅臼国後展望台のカメラが今まさにシャッターを押しているところだから、ということで下に向かって手を振った。まぁ我々の姿が見えるわけないのだが、インターネットに配信されている5月5日12時の羅臼岳の山頂写真には我々が立っているのである。
 しかし何という幸福だろう。知床岳、知西別岳、今日の羅臼岳とすべてピークに、雪のピークに立つことが出来た。とりわけこの羅臼岳は前回は敗退しているので感慨ひとしおである。遠い知床にはなかなか来られない。今回も5年ぶりなのだ。何とも言えない幸福感。少し風があって快晴の山頂。気持ちよい。
 去りがたい山頂にも10分ほどしかいなかった。雪の斜面を、ザクザクスイスイ下る。スキーのデポに着いたらガスがかかってきた。ガスの晴れ間を下ったら、また青空が広がる。休みもせずに滑り続ける。長官山のトラバースは夏道を見つけてそれを辿った。多少は時間短縮出来た。振り返ると稜線はガスに覆われている。予報どおりなのだ。ONO気象予報士は更に、雷雨の予報を出している。
 長官山の先の広い斜面を少し滑って、スキーはおしまい。また担いで下るのだが、気分は軽い。前回は右の沢に滑り降りて、木下小屋のすぐ上の堰堤の上まで滑り下ることが出来た。今年は下部の方は全く雪が少ない。
 黙々と下る。目の前のオホーツク海は、いつの間にやら真っ白い雲に覆われ、その雲が陸に押し寄せてきている。天気は明らかに下り坂なのだ。遠くで一度、ゴロンと雷鳴がした。予報通り!
 木下小屋に着くや否やに雨が落ちてきた。完璧な山行だった。

 九州から来た青年は、数少ない定期バスで帰っていった。あとは我々だけ。悠然と露天風呂につかり、楽しい夕食となった。小屋主の法量(ほうりょう)さんと、いろいろ話した。小屋の生い立ち、法量さんの人生。たまたま私と同じ会社だった事が分かり、立場は違うが疾風怒濤時代のほろ苦い思いを語っていた。

 望む山行は出来た。あと1日残っている。どこへ行くのか思案する。軽く知床峠から羅臼岳を滑ることに決めて露天風呂に浸かる。雨音がしている。明日は晴れの予報。


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