魚野川からガラン谷へ(2004年7月17〜20日)
メンバー、王様、IW、NG、MR、AI、MK


第一日(7/17)野反湖(06:05)〜(09:30)渋沢ダム(10:00)〜(12:15)犬ゼン〜(12:25)大ゼン上

 魚野川は、ずいぶん前からの夢だった。それまでに、岩菅山に登り、赤石山、大高山に登り、外の沢を遡り、八間沢、ガラン谷をうろつき、稜線の藪の濃さに戦意を削り取られながら、やっとここまで辿り着いたのだ。沸々と気力がみなぎってくる。
 16日夜、白根開善学校奥の林道に、車を一台デポして、野反湖で前泊。野反湖から山道を3時間半で魚野川に降り立つ。
 幅は広く、水量も多い。 15分も歩かないうちに千沢を分ける。釣り師を追い越すと暗いゴルジュになる。このあと、ガイドブックのコースタイムよりは、早めに通過する。
 へつったり、飛び越えたり、なかなか楽しい。高沢を過ぎると大ゼンが現れる。天気が心配だ。 12日夜からの新潟地方の豪雨の影響はどうだろうか。曇り時々日差し。黒い雲が上空を足早に流れて行く。この滝のすぐ上で泊まり場とする。
 幕場は、砂地であるが、増水したら逃げ場が厳しい。薪はたくさんある。岩魚も釣れて、楽しいキャンプとなる。
 夜半から雨。真夜中に強い降りになったが、未明に止む。少し心配になったが、10センチほどの増水ですんだ。

第二日(7/18)幕場(06:45)〜(07:25)黒沢〜(08:45)魚止めゼン〜(09:20)奥ゼン沢〜(09:40)小ゼン〜(10:55)庄九郎沢〜(12:55)南ノ沢出合

 4時前に起き出して、焚き火を起こし、ゆっくり朝食。天気は上々。
 黒沢出合までは平凡な河原だが、両岸の林が美しい。
 魚止めゼンは、川幅いっぱいに流れ落ちている。登ればその先は、ナメ。その先もにたような滝がいくつか現れる。どれも5メートルほどで美しい。越えるのは簡単。陽が差してくると水の色が輝く。
 小ゼン沢を過ぎると、川幅は狭くなるが、ナメ。庄九郎沢もナメで合流する。
 庄九郎大滝(10m)は、唯一巻いた。巨岩帯は、日差しも出て暑く、辛かった。地図上の現在地が分からなくなる。
 沢がクネクネ曲がり出すと、両岸の尾根も低くなり、徐々に、源流らしき風景になる。北ノ沢(本流)と南ノ沢の合読点で幕。今宵も、焚き火と岩魚。天気は良い。

第三日(7/19)幕場(06:35)〜(08:20)稜線(08:45)〜(10:15)ガラン谷温泉(11:00)〜(11:20)ダン沢〜(12:00)ガラン谷〜(12:40)幕場

 本流は北ノ沢であるが、我々は南ノ沢を遡る。志賀高原に抜けると、車の回収に手間取る。何か妙案はないか、と思案するうち、ガラン谷へ抜ける案がわき上がったのだ。
 ガイドには、ツメの藪こぎは猛烈、と書いてある。私もその藪は、縦走路で見ている。見なければ良かった、と思わせるほどの、戦意喪失的藪なのだ。南ノ沢はガイドには、何もない。どんなものか期待に胸うち振るわせながら地図を研究してきた。
 今朝もまた4時には起き出し、焚き火。釣り師は、釣りへ。
 気合いを入れて出発。南ノ沢は、狭い。が、小滝やナメが出てなかなかおもしろい。源流部になり、読図に忙しい。
 最後は、水が無くなり、沢の凹みも無くなった。右には赤石山の尾根も見えて、かなり高いところまで登っている。
 そこで私は、厳かに「藪突入宣言」を発した。太く、背丈を超す藪だ。途中、倒木にはい上がって見回して、予定より若干左に寄りすぎたので、軌道修正する。が、しかし、僅か7分で縦走路に飛び出した。
 私は思わず「どうだ!」と胸をはったが、その意味は定かでない。
 稜線から南側は、一気に夏の空、富士山まで見えている。暑い。
 次は、湯ノ沢への下降だ。尾根の一番細いところから、藪に突入。下り藪こぎは、楽だ。すぐに沢にぶち当たる。あとはひたすら下ろだけ、心配してた滝もなく、黙々と下る。すると、そのさきには、かの有名なガラン谷温泉が現れた。バスクリン色の適温のお湯が沸いてい
る。
 例のポリバスにかわるがわる入浴する。ああ、気持ちいい。
 ガラン沢に降り、本流を少し下った、峠ノ沢手前で幕。乾いた雰囲気の良い河原だった。ここまで来れば、あとは問題ない。のんびりした気分で、昼寝したり、残り少ない酒を飲む。
 夜は、気温が高かった。東京は最低気温が30℃と、ラジオが言ってる。

第四日(7/20)幕場(07:15)〜(08:30)キノコ沢〜(09:00)登山道(09:25)〜(10:25)白根開善学校

 この四日間、晩と朝、焚き火ができた。乾いた薪は、豊富にある。天気に恵まれて、午後の早い時間から寝るまで、暖かい焚き火の周りに居続けた。
 だから、持っていった燃料は、ほとんど使用せず、助かった。最終日の今朝は多少のんびりして、5時起きだった。
 本流を下り、キノコ沢を遡り、登山道に出て、帰る予定。
 途中にあるはずの惣吉地蔵へ登る登山道の指導標を見落とし、現在地が分からぬままキノコ沢を目指して下ると、滝にであった。
 ザックの下の方に仕舞った装備を引っ張り出して、懸垂下降の用意。右岸を懸垂下降する。その先、すぐ左からキノコ沢が滝になって合流する。目の前に、取水口のダムがあった。キノコ沢の滝は右のガレを登る。あとはひたすら登山道をめざして遡行するだけだ。
 30分ほどの登りだったが、長く感じた。キノコ沢を横切る登山道は、広葉樹の美しい林の中だ。 満ち足りた気分で、夏の目差しの中をおしゃべりしながら歩く。そこから車をデポしてあるところまでは1時間の歩きだった。
 コースタイムよりは、大分早く着いた。さあ後は車を回収して、そして温泉に入って、そんでもってビール呑んで…。カツ丼にしようかな?カレーかな、ラーメンもいいなあ…。

IW「車の鍵がない」
一同「……?」
NG「鍵はどこに仕舞ったの?」
IW「ズボンの中」
NG「そのズボンはどこ?」
IW「あっちの車の中」
一同「……?」

 終わりよければ全て良し。


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